決済承認率とは、顧客が支払いをした取引のうち成功した割合を示す尺度です。
いずれの企業も、取引の成功を追跡・把握するためには、決済承認率に着目する必要があります。なぜなら、この決済承認率が、決済処理の有効性や改善の必要性の有無を判断する際の優れたインサイトの1つだからです。
特に、決済承認率は測定と有効活用が比較的簡単です。では、どのような要因が]決済承認率に影響するのでしょうか？そして支払いの拒否率が高いことが判明した場合には、どのように改善すればよいのでしょうか？
本稿では、決済承認率が重要である理由とCheckout.comを利用した改善策についてご紹介します。
決済承認率について
決済承認率は単純に、全ての支払いの試行のうち成功した取引の割合を示しています。これは企業が追跡すべき重要な指標であり、パフォーマンスに関する実用的なインサイトとして、運用の最適化や収益の最大化に役立てることができます。
なお、イシュアが正規の取引と判断した取引試行件数の尺度であるオーソリ率とは異なります。
決済承認率の算出は簡単です。成功した支払件数を試行された支払件数で割り、その数値に100をかけるだけです。関連データは全て決済システムから引き出せるはずです。
式で表すと、決済承認率は次のようになります：（成功した取引件数／総取引件数）x 100%。
例えば、支払いの試行500件のうち412件が成功だった場合、決済承認率は82.4%となります。
支払承認率の適正な基準は80%前後またはそれ以上なので、上記の例は健全な数値と判断できます。仮に支払承認率が常に80%を切っている場合には、インパクトを与えていると思われる要因について検討し、改善策を講じられるようにする必要があります。
支払承認率が重要な理由とは？
支払承認率が重要な理由は、それが貴社の決済処理の成功率を測る尺度だからです。仮に想定通りにテクノロジーが機能していない場合には、収益を失うばかりか、顧客離れが進むことになります。
なぜでしょうか？驚くことに、誤判定で支払いを拒否された場合、支払いをやり直そうとは思わないと回答した消費者は45%にも上りました。失敗した支払いをやり直すのは、あまりにも時間がかかりすぎますし、すでにその時点で信頼は失われています。大抵の場合、消費者はこの状況において、すぐに競合他社のサイトに行って商品を購入することになります。
一方、支払承認率が高い場合には、収益の創出と顧客満足度が最大限に高まっていると言っていいでしょう。Checkout.comは、誤判定による拒否率を減らし、資金が確実に貴社に流れ込むようにすべく、Intelligent Acceptanceを導入しました。これは機械学習を使用したツールです。当社の決済アナリストは、このツールを駆使し、不正に対するセキュリティ面で妥協することなく、貴社の収益を最大化します。
支払承認率に影響する要因とは？
支払承認率にはさまざまな要因が影響します。その一部は貴社の力が及ぶ社内の要因であり、一部は力の及ばない社外の要因です。そうした要因を理解することが、課題解決の最初の一歩となります。
支払承認率に影響を与える一般的な要因として、以下を挙げることができます。
- 資金不足――支払いが承認されない最も一般的な理由の1つは、単純に顧客の銀行口座の残高不足です。
- 間違った詳細情報――顧客が間違ったPIN（存在する場合）やCVV番号（セキュリティコード、オンライン取引の場合）を入力すると支払いは拒否されます。
- 技術的な問題――決済プロバイダーからアクワイアラまで、決済フローにかかわる者なら誰でも、支払いの承認に支障をきたすような技術的な不具合に直面する可能性があります。例えば、インターネット機能が突然停止したり、メンテナンスのために停止時間が予定されていたりする場合などです。
- リスク評価の失敗――現在、顧客は多くの取引においてその承認前に、3Dセキュア（3DS）の入力や2段階認証（生体認証データの提供など）が必要になります。例えば、カード所有者の正しいデータと合致しないなど、こうした認証段階のいずれかの段階で顧客が失敗した場合、不正利用を阻止するため取引がブロックされます。しかし時には、不正検出システムが過剰に反応して、正規の取引をブロックすることがあります。これは誤判定による拒否として知られています。
- イシュアによるブロック――リスクが高い取引、あるいは疑わしい取引とイシュアが判断した場合にも、取引をブロックする場合があります。例えば、その取引の加盟店がギャンブルなどの高リスク業界に関わっている場合や、不正行為の横行で知られる国に所在している場合などです。
- 決済ページの稚拙な設計――決済ページが使いにくい、あるいは決済ページに望ましい支払方法がない場合、顧客の購入完了までを必要以上に難しくしている可能性があります。
決済体験を向上させる方法
支払承認率が必要な水準を下回った場合でも、適正な水準に戻すための策があります。支払承認率は、100%に達することはありませんが（不正な支払いは排除したいからです）、たとえ段階的な改善であっても、収益に大きなインパクトを与えることは可能です。以下は、決済体験向上のためのアドバイスです。
代替決済手段の提供
顧客に提供できる支払方法が多ければ多いほど、決済体験は向上します。希望する支払方法が選択肢の中にない場合、顧客が購入をやめてしまうことは珍しいことではありません。顧客が最も好む選択肢は、顧客の属性や注文総額によって変わる可能性があります。例えば、若い世代の顧客は、高額商品に後払い決済（BNPL）のようなクレジットの利用を好む傾向があります。また、支払いの好みには、地域差も大きく関係する可能性があります。例えば、アジア太平洋地域ではデジタルウォレットが最も一般的なECビジネスのための決済処理方法ですが、北米では現在もカードの使用が好まれています。
顧客の好みに合わせて決済ページをカスタマイズ
このことを念頭に、顧客の支払いの好みを知ろうとすることには、時間を費やすだけの価値があります。そうすれば、決済体験をカスタマイズしてフリクションを削減し、支払いの成功率を最大限に高めることができます。顧客が希望する支払方法を確実に提供するだけでなく、取引を承認し、不要なフィールドを削除するためには、顧客からどのような詳細情報を収集すればいいのか、という点についても検討します。また、さまざまなニーズに合わせた幅広い配送オプションと方法を用意する必要もあります。最後に、決済ページから安全や信頼を感じられるように、貴社のブランディングやウェブサイトのデザインと調和させます。
支払データのインサイトを活用
豊富な支払データが手元にあることで、支払いが失敗する理由を理解し、改善の成果を測定することができます。決済サービス プロバイダーに問い合わせ、関連データとその利用方法を入手します。そうすれば、何らかの課題に気づいたときに迅速に対応することができます。
不正検出の精度向上
誤判定による拒否率が高い場合には、不正行為監視システムの改善が必要かもしれません。不正検出エンジンが過剰に反応すると、正規の支払いの試行を誤ってブロックすることになり、収益が損なわれることになります。多くの不正検出ソリューションは、機械学習とカスタムルールの両方に依拠して、疑いのある取引に関する判断を行っています。低リスクの取引を確実に承認しつつ、高リスクの取引を正確に識別するために、意思決定エンジンを定期的に分析する必要があります。
有力なPSPの選択
決済サービス プロバイダー（PSP）が、Checkout.comのようにアクワイアリングやイシュイングも提供するのではなく、決済処理のみを提供する場合、提供できるデータのタイプには厳しい制限があります。ですから、承認率を正確に分析するために必要なデータが入手できない可能性があります。データの不足以上に収益向上を阻む障害はありません。承認率を正しい軌道に乗せるためには、最高のデータ、ツール、すぐに対応するサポートを提供できるPSPをしっかり選択しましょう。
続きを読む：貴社のビジネスに承認率が重要な理由
Checkout.comの利用で承認率を向上
Checkout.comは、貴社が当然の収益を獲得できるように支援するエキスパートです。決済テクノロジーのパフォーマンスは容易に見落とされがちですが、顧客満足度の最大化とバイヤーの維持にとって必要不可欠です。
決済処理は複雑性を伴います。さまざまに異なるイシュアの好み、現地のカードスキームの要件、グローバルな規制の変更は、変化の軸のごく一部にすぎません。だからこそ、競争力のある企業には、高度な決済テクノロジーに加えて、取引を確実に成功させるための最高クラスの専門知識が必要なのです。
当社の機械学習エンジンIntelligent Acceptanceは、日々、加盟店の承認率を向上させており、ベンダーの収益向上につながっています。
