今日のグローバル経済の中で、クロスボーダー取引はかつてないほど増えています。消費者はますます、商品やサービスの購入を国境のない世界で行っています。外国の企業から商品を買う場合でも、旅行先での支払いにカードを使う場合でも、本当の意味でグローバルに処理されている取引は増え続ける一方です。
クロスボーダー決済とは、加盟店、イシュア、アクワイアラが異なる国に所在する取引をいい、多くの場合、異なる通貨や規制環境がかかわります。これは、イシュア、加盟店、アクワイアラが全て同じ国にある現地アクワイアリングとは対照的です。
クロスボーダー決済を受け付けることには多くの優位性があり、対応する市場を拡大できるという点では特にそうです。しかしその一方で、こうした取引には特有の課題もあります。ですから、クロスボーダー決済のセットアップを最適化する方法を理解して、市場範囲を拡大しつつも、円滑で費用対効果の高い取引を確実に行えるようにすることが重要です。
グローバルアクワイアリングと現地アクワイアリングの比較
では、グローバルアクワイアリングと現地アクワイアリングの違いは何でしょうか?現地アクワイアリングとは、加盟店アクワイアラが所在する国と支払いが行われる国とが同一の場合のことです。現地アクワイアリングを利用する取引は、イシュアに馴染みのあるシナリオを作り出すため、取引成功の確率が高くなります。一方、アクワイアラが所在する国と取引が行われる国とが異なる場合、たとえ加盟店と顧客が同じ国にいても、この取引はクロスボーダー取引になります。
しかし、自社の決済サービス プロバイダーの現地アクワイアリング機能を利用することで、承認率の向上と取引コストの削減という優位性を得ることができます。
ただし、現地アクワイアリングは常に利用できるとは限らず、大半のグローバル企業は、現地アクワイアリングとグローバルアクワイアリングの両方を利用して、グローバル顧客のニーズに応えることになります。グローバルアクワイアリングによって、企業は世界中の顧客からの取引に対応できます。この点は、グローバルに拠点を構え、現地アクワイアリングが利用できないときでも顧客の決済を処理できるようにしたい企業にとって極めて重要です。中核市場で現地アクワイアリングを利用し、他の市場からの取引にグローバルアクワイアリングを利用すれば、企業は幅広い市場を最大限に活用することができます。ですからグローバル企業にとって、両方のアクワイアリングを提供できるPSPと連携することが最適なシナリオと言えるのです。
グローバルアクワイアリングを利用する理由
ローカルに決済処理するということは、現地の運用や銀行口座、法的主体など、いくつもの厳しい要件を満たさなければならないということを意味します。しかし、グローバルアクワイアリングによって、こうした要件に対応する必要なく、企業は多くの市場からのビジネスを活用することができます。
グローバルアクワイアラと連携すれば、企業は国際的に事業展開したり、市場範囲を拡大したりして、世界中の顧客からの決済を処理する機会を獲得することができます。
グローバルアクワイアラは、通貨の換算を処理することで取引プロセスを簡素化し、企業が希望する通貨で確実に支払いを受けられるようにします。その結果、顧客側の購入プロセスが合理化するだけでなく、企業側の財務管理も楽になります。
さらに、多様な国際支払方法に対応することは極めて重要ですが、グローバルアクワイアラであれば、こうした幅広い支払方法の管理に精通しています。この柔軟性によって、企業はさまざまな国際市場で現地決済の希望に応えることができ、顧客満足度を高めることができるのです。買い物客の所在地や通貨を基に、支払方法を機動的に仕分けたり、フィルターをかけたりできるようにする製品を利用すれば、支払いのパフォーマンス向上につながる可能性があります。
グローバルアクワイアラはまた、取引が現地の法律に準拠していることを確認し、不正の検出や防止などのリスク管理も支援します。こうした包括的なサポートは、安全でコンプライアンスを徹底した運用を維持するために不可欠です。
グローバルアクワイアリングのソリューションを利用している企業は、全ての市場の取引をレポート/照合するための統合プラットフォームを提供するソリューションにより、財務業務を効率化することができます。これにより財務の管理と監視が簡素化されます。
最後に、海外の顧客が商品やサービスを購入しやすくすることで、顧客の信頼とブランドロイヤルティが構築されます。今日のグローバル化したマーケットプレイスでは、この信頼感は競争上の大きな優位性となります。なぜなら、顧客は満足感を得られると、その企業が顧客中心型で信頼できると見なす可能性が高いからです。
さらに詳しく:クロスボーダーのeコマースを最適化する方法
課題の把握と対処
クロスボーダー決済には、高額な手数料、不利な為替レート、長い処理時間といった問題が伴う可能性があります。また、国によって規制の枠組みが異なるため、企業は決済の拒否やコンプライアンスの問題に直面することもあります。こうした課題を把握することが、決済処理を最適化する最初の一歩となります。
では、現地アクワイアリングを利用できない場合には、企業はどのようにクロスボーダー決済を最適化すればよいのでしょうか?
適切な決済ゲートウェイを選択することが重要となります。適切なゲートウェイは、複数の通貨を処理し、強固なセキュリティ機能を提供するものでなければなりません。また、国際的な決済規制に準拠し、法的リスクを最小限に抑えるものである必要もあります。こうした適切なプラットフォームは、決済データの分析ツールも提供することになるため、非効率性の特定・対処に寄与することができます。
国際的な金融規制のコンプライアンスは、多くの場合、クロスボーダー決済を行う企業にとって最大の課題の1つとなります。したがって、事業展開する国の規制情勢の把握とコンプライアンスの徹底を支援する決済パートナーを見つけることが不可欠です。
為替の変動もクロスボーダー決済のコストパフォーマンスに大きなインパクトを与える可能性があります。ですから為替管理戦略を実施することが必須となります。例えば、Checkout.comは取引のキャプチャから決済まで為替レートを固定することで、取引の為替リスクを軽減し、レポートの透明性を高め、コストを削減します。取引前にレートをプレビューできる外国為替FX APIを備えたソリューションを見つけ、運用ニーズに合わせれば、運用の効率化を図ることができます。
さらに、事業展開している地域のタイムゾーンと決済時間を合わせることで、通貨管理を簡素化し、流動性ニーズに合わせることができるため、1つの通貨で複数の決済が可能になります。
適切なPSPと連携するもう1つのメリットが、予想可能な決済レポートです。これにより企業は、決済のタイミングに関する明確でわかりやすいデータを使用して、キャッシュフローを効果的に管理することができます。詳細な取引データへのアクセスは、キャッシュフローの予測可能性を予測・強化し、コスト削減の機会を特定し、収益を強化することに役立ちます。こうした透明性は、スキームやインターチェンジ手数料のような特定の料金の把握から運用コストに関するインサイトの提供、効率性の改善が期待できる領域の特定にまで及びます。
決済ルーティングとは、支払人から受取人までの取引の経路のことをいいます。この経路を最適化すると、取引コストが削減され、成功率が高くなります。連携すべき適切なPSPを見つければ、コストや速さ、支払いの成功率などの要素を考慮した上で最も効率的な方法で決済を自動的にルーティングする高度なソフトウェアソリューションにアクセスできるようになります。
適切な戦略の構築
クロスボーダー決済のセットアップを最適化するためには、適切なテクノロジー、戦略的な財務計画、強力なパートナーシップの組み合わせが必要です。課題はたくさんありますが、国際決済システムをしっかり組み立てれば、大きなリターンが期待できます。自社の決済処理を積極的に適応させる企業は、運用効率とグローバル市場での存在感を高めることが可能です。
その秘訣は、クロスボーダー取引を最適化しながら、現地アクワイアリングも提供するPSPを見つけることです。そうすれば、ビジネス目標に適った徹底した決済戦略を構築することができます。